『オレはまってるぜ!!バージョンアップ』作品解説

<ストーリー>
1945(昭和20)年8月14日、日本は太平洋戦争を自らの敗戦という形で終止符を打つか、徹底抗戦による玉砕に向かうか、歴史上最大の岐路に立たされていた。あくまでも戦いの中での死を望む若い将校達は、戦争を終わらせまいと軍部内でのクーデターを企む。一方、遠く南の鹿児島では、特攻隊員達が翌日の帰らぬ出撃を前に、最後の夜を過ごそうとしていた。
若き特攻隊員のアオイ(金子)は、出撃前夜、特攻への拒否感を隠さない。仲間のカネダ(山本)は諌めるが、そこに親友のオチ(鎌倉)が現れる。「一緒に死のう」2人は誓い、思い出を語り合う。最後の夜に激しく踊る特攻隊員達。一方陸軍本部では徹底抗戦派の青年将校(蘭・佐藤)が近衛師団の決起を呼び掛けるが失敗。師団長を殺害し、玉音放送を止めるべく皇居へ向かう。夜が明け、青年将校達は反乱軍として射殺され、鹿児島では特攻隊員が片道分の燃料を積んで飛び立って行った。間もなく戦争が終わることも知らずに。そしてアオイも…。

<解説>
'97年の初演から4年、バージョンアップという形で再演しました。ある程度史実に基づいていることもあり、メインストーリーはそれなりのリアリティがでていたのではないかと思います。ブラボーカンパニーとしても、いつもコント中心の、ベースは楽しい舞台が多いので、「戦争」というとても重く、抗し難い力を持つ題材に向き合うことは、ごまかしの効かない挑戦でした。
メインストーリー以外のコントも戦争に絡む作品ばかりで、「戦意高揚のための子供映画」「玉音放送録音」「最新兵器」「素敵な戦死」等のラインナップ。バージョンアップと銘打たれた通り、97年版とは大幅にその内容も改編されましたが、特に支持を集めたのが「ヤマト」。ご存知『宇宙戦艦ヤマト』の面々が、戦時中に国家の危機もすっかり忘れ、気楽な南国の旅をしているというシュールな設定が共感を呼んだのでしょうか。(2002年1月の「大コント大会」でも上演)
この作品のラストは、現代に生まれ変わったオチとアオイの再会で幕を閉じますが、物語的なこともあるのでしょうか、幅広い年齢層の方々の大きな拍手を頂きました。
 
 
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